季のもの
6月もなかばになると、とつじょあらわれてぎょっとする、あじさいの花。
「あじさいおばけ」とよんでいる。
夜にみると、深緑とむらさきの大ぶりがぞよぞよかたまり、いかにも幽霊じゃないか。
(おっと、おばけと幽霊はゲンミツには別物だ!)
もう枯れかけの時期だけれど、すべりこみで、あじさいショットを。
先月撮ったものだから、満開の、きれいなあじさい。
さて、この花、夏の季語だ。
いいなあとおもう俳句をあげてみる。(独断と偏見でえらんでおります。)
・紫陽花もをはりの色の曇つてゐる (種田山頭火)
……ありがとう自由律。すきです山頭火!
・泳ぎつつ人紫陽花にかくれけり (水原秋桜子)
……国語の教科書のなかで憧れた名前第1位。
・紫陽花の花をぞおもふ藍ふくむ濃きむらさきの花のこひしさ (若山牧水)
・うす藍のいまは褪せなむあぢさゐの花をまたなくおもふ夕暮 (若山牧水)
……牧水さんの色彩感覚よ。短歌だけど、すきなので入れちゃう。
・あぢさゐの毬より侏儒よ駆けて出よ (篠原鳳作)
・あぢさゐの水漬けるところ一碧に (皆吉爽雨)
・紫陽花や人見る犬の怜悧な目 (星野立子)
・あぢさゐの落花は陶の破片なり (山口誓子)
死ぬまでに俳句をよめるようになってみたい。
「掌のみどり深く紫陽花まねく」
「車椅子の骨と枯れる紫陽花は灰」
……ああ、前途はよほど遠いねえ。
Led Zeppelin:No Quarter(1973)