201408
せんじつ古本屋にて衝動買いを決行したんであるが、
そのうちの1冊が『マヤ・インカ神話伝説集』(松村武雄編、世界思想社)。
中南米の神話をあつめたもので、ゆるい語り口、神々はいきいきと好きかってし、残虐な場面もけろりと描写、とても面白い読み物だった。
そのなかでとくに、ナワ族(アステカ)の死後の世界が興味深かったので、ご紹介する!
まず、天国と地下の世界(冥府)の2つが存在する。
「太陽の館」「トウモロコシの館」とよばれる天国へいけるのは、戦闘で死んだ者、生贄として捧げられた者、お産で死亡した女性。
それ以外の人間は、みな冥府でくらすことになるのだが、地下の世界は全9層もあり、冥府はその最下層。
冥府にたどりつくためには、8つの地下世界を苦難とともに旅しなければいけない、というわけだ。
お棺に入れられた槍の束をもって、死人は地下世界へ出発する。
・2つの高い高い峰がそびえる間を、通りぬける。うっかりすると峰が落ちかかり、身体が粉砕してしまう。
・そのさきでは大きな蛇がとぐろを巻いて待っており、死人にとびかかってくるところを槍で闘う。
・おつぎは大きな鰐がいる。ショチトナルといって、死人の足音を聞くととびかかってくるので、また闘う。
・そして8つの砂漠と8つの山を通りぬけると、岩をも切り裂く鋭いつむじ風に襲われる。
・そのさきにいるのは、イスプステケという悪魔。後ろむきになった鶏の脚をもち、鉤爪でずたずたに裂こうとしてくる。
・そして悪魔ネシュテペワの出番。空中に灰を投げて真っ暗にされるので、痛む目をみはって歩かなければいけない。
・ついに冥府の門につき、ミクトラン王の許しをえて、冥府に住みつく。
ちなみにミクトランさんは、あたまは頭蓋骨むきだしで、手には頭蓋骨か骨をもっているそうだ。
いろんな神話・説話に地下世界の重層構造はでてくるけど、深くなればなるほど、ひどい地獄がまっている、というイメージだった。
この神話は、最下層に安寧の地があり、それまでは通過儀礼の旅。おもしろいなあ。
これを買った古本屋さんのとなりに、神社がある。
ひさしぶりに通りかかったら、新しい狛犬がふえていた。
みえる、みえる。どきどき。
石も、塗料も、真新しくしゃきっとしている。
紅も白も金もあざやかに、青空に映える。つるりと日光を反射するさま、健康的だ。
こちら、寄り目が愛らしい。
おこさま、こんにちは。
ちゃんと、おこさまの爪まで塗ってある!ちんまり、かわいい!
形は、いかにも量産されているふつうのものだけど、こうして真新しいと、清涼感があって心地よいなあ。
時間とともに、この石の輪郭が、ていねいな色づけが、どうなっていくのかたのしみだ。
なおこの神社には、あと4対の狛犬がいた。
そのうち1対は、社殿のなかで守られていて、撮影禁止。黒々としたりりしいすがた、「陶製瀬戸鉄釉狛犬」というらしく、室町時代の作で、県の指定文化財になっているそうだ。
のこり3対は、あまり個性がつよいともいえないので、泣く泣く省略させていただく。いずれ、他の記事でお目にかかれることを祈りつつ。
「なにっ!ぼくを省略するだと!」
ごめんね。
Tycho:Awake(2014)
このバンドをよく聴いていて、いつも浄化されるきもちになる。
かれらの曲から、海や砂漠などの自然を連想するひともいるけど、わたしはどちらかというと内面世界へ潜っていく気分でいる。
白い皮膚に血を透かしたような、うすい朱色の世界、襞のあいまのような狭い道のイメージだ。