一寸怪
タイトルは泉鏡花の小品から。「ちょいとあやし」と読む。
ささ、これから数記事にわけて、帰郷の折にみつけた狛犬をならべていくわけです。
なかでも今回は、エゲツナイ狛犬、これでいきましょう!
まずひとつめの神社。新興住宅街のなか、見過ごしそうになるくらいひっそりと、入り口があった。
ゆるやかなカーブの坂をあがっていくと、はやくも異変が。
曇り空のなか、狛犬の眼が……光っている!
反射される金色の光線が、ズバンとわたしを貫く。さっそく奇妙だ。
鳥居をくぐると待っていたのは、
「えっ! 気持ち悪い!」
まずそう叫び、それからじわじわときて、また何度も叫びたくなる。
「めっちゃ気持ち悪い!」
こっちもすごく気持ち悪い。
子犬のアップ。
どうしてこんなに気持ち悪いんだろう。
ただただこの狛犬をいっしょにながめ、言い知れぬ不安をともに味わってください。
うしろの「特別警戒中」がナイスだ。
つぎの神社へ移ろう。
ここも、遠目でみてビクッとした。
近づいてみて、その理由が判明する。
黒目までぬりつぶされているので、白目を剥いてるみたいになっている。
口もべたべたと、失敗した口紅のようだ。あひる口っぽいのが、ちょっとイラッとするね。
このからだの色合いや、くるんと巻いた尻尾の具合は、ずいぶん素敵なんだがなあ。
化粧が濃くて白目剥いてるひとにしか、見えなくなっちゃったものなあ。
子犬はぶじだった。
蛙みたいなすわりかたをしている。
一寸怪といえば、こんなものが置かれている神社も。
本殿のわきに、おれんじ色のドレスのお人形さんだ。
この神社は社殿を建て替える予定だそうで、この少女の行方が気になる。
さて、気味悪いのばかり載せてしまったので、これでお口直ししていただこう。
ひそかに「趙公明」犬と呼んでいる、キリッとした(濃い)奴だ。(藤崎竜の『封神演義』のアレです)
気持ち悪い、マジヤバイなんていいつつ、もちろんこれらの狛犬もとても愛しているからね!
つぎは、もっと優美な狛犬をあつめますので、どうぞよしなに。
The Byrds:Turn! Turn! Turn!(1965)