噛む飼い犬より噛まない狛犬

このごろは飼い犬とも仲がいいよ

一寸怪

タイトルは泉鏡花の小品から。「ちょいとあやし」と読む。

 

ささ、これから数記事にわけて、帰郷の折にみつけた狛犬をならべていくわけです。

なかでも今回は、エゲツナイ狛犬、これでいきましょう!

 

まずひとつめの神社。新興住宅街のなか、見過ごしそうになるくらいひっそりと、入り口があった。

ゆるやかなカーブの坂をあがっていくと、はやくも異変が。

曇り空のなか、狛犬の眼が……光っている!

反射される金色の光線が、ズバンとわたしを貫く。さっそく奇妙だ。

 

鳥居をくぐると待っていたのは、

f:id:komakomainu:20140930190024j:plain

「えっ! 気持ち悪い!」

まずそう叫び、それからじわじわときて、また何度も叫びたくなる。

「めっちゃ気持ち悪い!」

f:id:komakomainu:20140930190344j:plain

こっちもすごく気持ち悪い。

子犬のアップ。

f:id:komakomainu:20140922231601j:plain

どうしてこんなに気持ち悪いんだろう。

 

ただただこの狛犬をいっしょにながめ、言い知れぬ不安をともに味わってください。

f:id:komakomainu:20140930190736j:plain

f:id:komakomainu:20140930190834j:plain

うしろの「特別警戒中」がナイスだ。

 

つぎの神社へ移ろう。

ここも、遠目でみてビクッとした。

近づいてみて、その理由が判明する。

f:id:komakomainu:20140930193934j:plain

黒目までぬりつぶされているので、白目を剥いてるみたいになっている。

口もべたべたと、失敗した口紅のようだ。あひる口っぽいのが、ちょっとイラッとするね。

f:id:komakomainu:20140930194211j:plain

f:id:komakomainu:20140930194337j:plain

このからだの色合いや、くるんと巻いた尻尾の具合は、ずいぶん素敵なんだがなあ。

化粧が濃くて白目剥いてるひとにしか、見えなくなっちゃったものなあ。

子犬はぶじだった。

f:id:komakomainu:20140930203149j:plain

蛙みたいなすわりかたをしている。

 

一寸怪といえば、こんなものが置かれている神社も。

f:id:komakomainu:20140930195226j:plain

本殿のわきに、おれんじ色のドレスのお人形さんだ。

この神社は社殿を建て替える予定だそうで、この少女の行方が気になる。

 

さて、気味悪いのばかり載せてしまったので、これでお口直ししていただこう。

f:id:komakomainu:20140930195727j:plain

f:id:komakomainu:20140930195850j:plain

ひそかに「趙公明」犬と呼んでいる、キリッとした(濃い)奴だ。(藤崎竜の『封神演義』のアレです)

 

気持ち悪い、マジヤバイなんていいつつ、もちろんこれらの狛犬もとても愛しているからね!

つぎは、もっと優美な狛犬をあつめますので、どうぞよしなに。

 

 

The Byrds:Turn! Turn! Turn!(1965)